2025年10月22日

Salesforce株:Dreamforce 2025が示したAI戦略の進展

リサーチインサイト

Salesforce(セールスフォース)株は2025年、市場を大幅にアンダーパフォームしている。「AIがソフトウェアを飲み込む」というナラティブに打撃を受け、株価はおよそ4分の1を失った。しかし、Salesforce自身もAI分野で積極的に事業を展開しており、この1年間、成長を後押しする強力なソリューションを着実に展開してきた。10月中旬に開催された「Dreamforce 2025」カンファレンスで明らかになった、これらのAIソリューションと同社の今後の展望について見ていく。

「Agentforce 360」の発表

Dreamforce 2025において、Salesforceは「Agentforce 360」を発表した。これは2024年10月に初めて発表されたエージェント型AIプラットフォームの最新版である。Agentforce 360は世界中で利用可能であり、営業、サービス、マーケティング、サプライチェーンなど、あらゆる業務機能で活用できる。目的は、人間とAIエージェントを一つの信頼できるシステムでつなぎ、あらゆる企業がこれまでにない知性とスピードで事業を運営できるようにすることだ。

  • Agentforce 360には、以下のような強力な新機能が搭載されている。

  • Agentforce Builder:自然言語を使ってAIエージェントの設計、テスト、デプロイをチームで行える、対話型の開発スタジオ。

  • Agentforce Vibes:自然言語のプロンプトを使ってアプリやダッシュボードを構築できるコーディングツール。

  • Agentforce Voice:双方向の音声コミュニケーションをエージェントのワークフローに直接統合する機能。

Salesforceは、Agentforce 360を「エンタープライズの未来」と位置づけている。すべてのAIエージェントの信頼できるデータ基盤である「Data 360」プラットフォームに支えられ、あらゆるやり取りの中心にAIとデータを据えている。

Salesforce launches Agentforce 360 AI platform

OpenAIおよびAnthropicとの新たな提携

Dreamforceでは、SalesforceがOpenAIおよびAnthropicとの提携を拡大し、両社のAIモデルをAgentforce 360プラットフォームに直接統合したことも発表された。OpenAIとの提携により、ユーザーはChatGPT内から直接Agentforce 360にアクセスし、データ操作やTableauの可視化作成を行えるようになる。一方、AnthropicのClaudeモデルは、Salesforceのセキュアなクラウド環境を通じて、金融サービス、ヘルスケア、サイバーセキュリティなど規制の厳しい業界の顧客に提供される。これらのテック企業の強力なAI技術を活用することで、同社は規制の厳しい業界を含む、より幅広い企業層へのアピールを狙っている。

Agentforceの利用企業が増加

Agentforce 360の導入状況について、Salesforceは現在12,000社の顧客がこのプラットフォームを利用していると発表した1。同社が紹介した事例には以下のようなものがある。

  • Reddit:Agentforceの活用により、サポート案件の46%を自動対応で処理し、解決時間を84%短縮。平均応答時間は8.9分から1.4分に短縮された。

  • Adecco:人材サービス大手のAdeccoは、Agentforceを活用し、通常の勤務時間外における求職者とのやり取りの51%をAIエージェントで対応できるようになった。

  • OpenTable:レストラン予約サービスのOpenTableは、Agentforceを活用し、利用者およびレストランからの問い合わせの70%を自律的に解決できるようになった。

導入拡大の結果、この事業領域の収益は急速に伸びている。7月31日に終了した直近四半期において、同社はエージェント型AIから4億4,000万ドルの年間経常収益(ARR)を計上した2。

長期的な成長率の見通しを引き上げ

Agentforceの成功を受け、Salesforceは2030年までに年間売上高が600億ドルを超えると見込んでいる2。この数値は、直近のInformatica買収の影響を除いたもので、2025会計年度比で58%の増加となる。イベント開催前、アナリストは2030年までの売上高を約584億ドルと予想していた3。つまり、今回の売上高見通しはウォール街の予想を上回るものだった。

なお、Salesforceは今後数年間で高水準の収益性を実現することも目指している。2030会計年度末までに、「Rule of 40」スコア50を目標としている。

Salesforce projects strong revenue growth 2030

株主還元の拡大を発表

最後に、同社は今後6ヶ月間で70億ドルの自社株買いを実施すると発表した。これは9月に発表した200億ドルの自社株買いに続くものだ。

JPモルガンのアナリストは、今回の新たな自社株買いは、Salesforceの売上高、受注額、フリーキャッシュフローの強さに対する自信の表れだと指摘している。同社は現在、このソフトウェア株に365ドルの目標株価を設定しており4、これは現在の株価を40%以上上回る水準だ。

脚注:

1 Sales Force, News Details, 2025年10月13日時点

2 Sales Force, News Details, 2025年10月15日時点

3 Reuters, Salesforce forecasts stronger-than-expected revenue of over $60 billion in 2030, 2025年10月16日時点

4 Investing.com, Salesforce Inc (CRM), 2025年10月21日時点

ニュースレターに登録

当社のレバレッジ型ETFに関する最新情報、プレミアム・インサイト、専門家の分析を受け取るためにご登録ください。

    通知を受け取る

    ニュースレター

    プレミアムなインサイト、専門家の分析、最新トレンドのタイムリーな情報を受け取れるコミュニティにご参加ください。

      通知を受け取る

      登録が完了しました!

      ニュースレターへのご登録ありがとうございます。確認メールを受信トレイへお送りしました。

      Be the first to know

      Be among the first to receive updates on new product launches, listings, and important announcements.

      ニュースレター

        Be the first to know

        登録が完了しました!

        ニュースレターへのご登録ありがとうございます。確認メールを受信トレイへお送りしました。