レバレッジETFは短期的には増幅されたリターンをもたらす可能性がある。しかし長期的には、日次リバランスと複利効果の組み合わせがパフォーマンスに影響を及ぼすことがある。本ガイドでは、ETFの複利リスク、日次リバランスの仕組み、そしてそれがレバレッジETFのパフォーマンスに与える影響について解説する。
レバレッジETFにおける日次リバランスとは
日次リバランスとは、レバレッジETFが目標とするレバレッジ倍率(例:2倍)を維持するための仕組みである。各取引日の終了時に、以下のような調整が行われる。
対象となる株式や指数が上昇した場合、ETFは翌営業日の目標レバレッジに合わせてエクスポージャーを引き上げる。
対象となる株式や指数が下落した場合、ETFは過剰なレバレッジを防ぐためエクスポージャーを引き下げる。
リバランスが毎日行われるため、時間経過に伴うパフォーマンスは、リターンの合計値だけでなく、その値動きの経路(パス)にも左右される。このリバランスによってETFは表示された日次リターン倍率を達成できるが、同時に、リターンが前のリターンの上に積み重なっていく複利効果が、時間の経過とともに大きな役割を果たすことも意味している。
複利効果はレバレッジETFにどのような影響を与えるか
複利効果は、方向感のあるトレンド相場ではリターンを増幅させる一方、ボラティリティの高い相場やレンジ相場では不利に働くことがある。
ある個別株に連動する2倍レバレッジETFに投資し、10日間保有すると仮定する。以下の3つの例では、対象株式のパフォーマンスに応じて、ETFの日次リバランスが複利リターンにどのような影響を与えうるかを示す。
例1:Nvidiaが10日間、毎日2%上昇するケース
Nvidiaが毎日2%上昇すると仮定する。Leverage Shares 2X Long Nvidia Daily ETF(NVDG)を用いた場合、10日後のリターンは下表の通りとなる。

注:これらの例はすべて説明目的の試算であり、手数料、諸経費、取引コストは含まれていない。示されているリターンは説明のための試算値であり、実際のパフォーマンスを反映するものではない。
Nvidia株単体では21.9%上昇することになる。毎日、前日の上昇分の上に2%が積み重なっていくためだ。これは、単純に毎日2%を10日分足し合わせて20%とするのとは異なる点に注意が必要だ。
安定した上昇トレンドにおいては、レバレッジETFの「複利効果」が有利に働くことがある。下のチャートで、2倍ETFの複利リターンがNvidia株のリターンの2倍を上回っている点に注目してほしい。

グラフィックはあくまでイメージであり、手数料・諸経費控除前の数値を示している。
例2:Teslaが10日間、毎日2%下落するケース
次に、Teslaが毎日2%下落すると仮定する。Leverage Shares 2X Long Tesla Daily ETF(TSLG)を用いた場合、10日後の合計損失は以下の通りとなる。

Tesla株は10日後に18.3%の下落となり、毎日2%下落した場合に想定される20%の損失よりも小さくなった。これは、2%の下落が毎日、より小さくなったベースに適用されるためだ。レバレッジETFについても、複利効果は再び有利に働き、損失は株式単体の損失のほぼ2倍弱にとどまった。

グラフィックはあくまでイメージであり、手数料・諸経費控除前の数値を示している。
例3:Palantirが10日間、+2%と-2%の間で日々変動するケース
株価は通常、一直線に上昇または下落し続けるわけではない。そして、まさにそうした局面で複利効果はマイナスに働くことがある。ここでは、Palantirが毎日2%の上昇と2%の下落を交互に繰り返すと仮定する。Leverage Shares 2X Long Palantir Daily ETF(PLTG)を用いた場合の結果は以下の通りだ。

株式単体では、日々のわずかに変化するベースに対して値動きが複利計算されるため、10日後の損失は約0.2%にとどまる。しかしレバレッジETFでは、株式の損失の2倍を上回る0.8%の損失となる。つまりこのケースでは、日次リバランスによる複利効果が投資家にとって不利に働くことになる。

グラフィックはあくまでイメージであり、手数料・諸経費控除前の数値を示している。
この現象は「ボラティリティ・ドラッグ」と呼ばれ、レンジ相場や不安定な相場では、時間の経過とともにレバレッジETFの価値が目減りしていくことがある。そのため、多くのトレーダーはこうしたETFを通常1日以内しか保有しない。
まとめ
日次リバランスはレバレッジETFを目標倍率(例:2倍)に維持する仕組みだが、時間の経過とともに複利リスクをもたらす。
強い上昇トレンドでは、複利効果がリターンを押し上げ、レバレッジETFがアウトパフォームすることがある。
レンジ相場や不安定な相場では、対象株式が全体としてあまり動かなくても、複利効果とボラティリティ・ドラッグによってリターンが目減りする。
レバレッジETFは短期的な値動きを捉えるために設計されており、長期保有を前提としたものではない。日次リバランスの仕組みを理解することが、リスクとリターンを適切に管理する鍵となる。