Palo Alto Networks(PANW)は過去6カ月間、他の主要サイバーセキュリティ銘柄をアンダーパフォームしています。
同社は顧客により良いサービスを提供するため「プラットフォーム化」モデルへの転換を進めており、これが短期的な成長鈍化につながっています。
同社の「次世代セキュリティ(Next-Generation Security)」事業は現在力強い成長を遂げており、2025会計年度第2四半期のARR(年間経常収益)は前年同期比37%増加しました。
McKinsey & Co(マッキンゼー)のアナリストは、サイバーセキュリティ市場は将来的に2兆ドル規模になり得ると見ています。
サイバーセキュリティは、今こそ投資家が注目すべきテクノロジー分野です。人工知能(AI)の台頭を受け、サイバー脅威はますます高度化しており、高度な脅威検知・防御の必要性はかつてないほど高まっています。
この業界の中で今まさに注目すべき銘柄がPalo Alto Networks(PANW)です。同社はサイバーセキュリティ市場最大手であり、時価総額は約1,200億ドルに達します。
過去6カ月間、同銘柄は業界内の他社をアンダーパフォームしており、株価上昇率はわずか2%にとどまりました(Fortinetは28%、CrowdStrikeは31%上昇)。そのため、サイバーセキュリティ・テーマへのエクスポージャーを求める投資家にとって、ここに投資機会がある可能性があります。

20年に及ぶ経験
Palo Alto Networksは2005年、Nir Zuk氏(サイバーセキュリティ企業Check Pointの元プリンシパルエンジニア)によって、ネットワークセキュリティに革命を起こすというビジョンのもとに設立されました。Zuk氏はポートやプロトコルの検査に依存する従来型ファイアウォールの限界を認識し、ポートやプロトコルにかかわらずアプリケーションを識別・制御できる先進的な製品の開発に着手しました。
創業以来、同社は現代企業の変化するニーズに対応すべく大きく進化してきました。革新的なサイバーセキュリティ・スタートアップを数多く買収し、製品へのAI統合に注力してきただけでなく、個別ソリューションの提供から、クラウドセキュリティ、ネットワークセキュリティ、セキュリティオペレーションという複数のプラットフォームを通じて顧客に包括的な保護を提供する「プラットフォーム化」モデル1への転換も進めています。
包括的な保護
このプラットフォーム化アプローチは、さまざまなサイバーセキュリティ・ソリューションを統合し、顧客に包括的な保護を提供すると同時に、運用効率も高めることができる、統一されたスケーラブルなプラットフォームへとまとめ上げるものです。AI、自動化、分析の力を活用することで、脅威検知・対応・管理を簡素化し、複数のセキュリティツールを管理する複雑さとコストを削減します。
Palo Altoはこのプラットフォーム化モデルを「次世代セキュリティ(Next-Generation Security)」事業と呼んでおり、現在大きな成功を収めています。
力強い成長
実際、直近四半期2(2025会計年度第2四半期)の次世代セキュリティ事業のARR(年間経常収益)は前年同期比37%増の48億ドルとなりました。この高い成長率は、顧客が同社のAI主導型プラットフォーム・アプローチに大きな価値を見出していることを示唆しています。
同四半期中、同社はセキュリティプラットフォームのいずれかを利用する新規顧客を75社獲得しました。期末時点で、上位5,000社の顧客のうち1,150件のプラットフォーム化が完了しています。
多くの顧客が複数のプラットフォームを導入している点は注目に値します。CEOのNikesh Arora氏は第2四半期決算説明会で、「2プラットフォーム顧客数は第2四半期に50%以上増加し、3プラットフォーム顧客数は前年同期比で3倍に増加している」と述べました。
今後については、Palo Altoは2030会計年度までにプラットフォーム化顧客数を2,500~3,500社とすることを目指しています。また、2030年までに次世代セキュリティ事業のARRを150億ドルとすることも目標としています。
第2四半期のハイライト:
売上高は前年同期比14%増の23億ドル。
次世代セキュリティ事業のARRは前年同期比37%増の48億ドル。
残存履行義務(RPO)は前年同期比21%増の130億ドル。
「第2四半期の好調な業績は、クラウド投資やインフラの近代化を含め、AIの必要性に突き動かされたテクノロジーを顧客が導入したことに支えられました」— Palo Alto Networks会長兼CEO、Nikesh Arora氏
PANWはなぜアンダーパフォームしたのか?
過去6カ月間、株価がアンダーパフォームしてきた理由としては、(2023年後半に初めて発表された)プラットフォーム化への転換と、それに伴う成長鈍化が最も可能性が高いと考えられます。複数ベンダーのソリューションを利用する顧客に自社のプラットフォームへの統一を促すため、Palo Altoは短期的にソリューションを無償提供することに合意し、顧客が2社のベンダーから同じソリューションの費用を同時に支払う必要がないようにしました。
これは短期的に同社の売上成長にマイナスの影響を与える見込みであり、直近の決算にもその影響が表れています。2024会計年度の売上成長率はわずか16.5%(2023年は25.3%、2022年は29.3%)にとどまり、2025会計年度第2四半期の売上成長率は前年同期比わずか14%でした。
2兆ドル規模の市場機会
しかし、この成長鈍化は一時的なものにとどまると見られています。今後数四半期先を見据えることができる投資家は、その先に果実を得られる可能性があります。
長期的には、プラットフォーム化戦略は同社に大きな価値をもたらすと見込まれます。顧客が一度囲い込まれれば、離脱するのは非常に不便になるためです。また、この戦略は最小限の販売コストで追加サービスをアップセルできるため、利益率の向上にもつながると考えられます。
Grand View Researchによると、世界のサイバーセキュリティ市場は今後、年率13%で成長し、2030年までに5,000億ドルを超える規模になる見通しです。さらに長期的に見ると、McKinsey & Co3によれば、市場規模は2兆ドルにまで拡大する可能性があります。
包括的なサイバーセキュリティ・ソリューション群を有するPalo Alto Networksは、この機会を捉える上で有利な立場にあります。そのため、今が投資を検討する好機かもしれません。
脚注:
1 Palo Alto Networks、Cybersecurity Platformization、2024年4月26日時点
2 Palo Alto Networks、Palo Alto Networks Reports Fiscal Second Quarter 2025 Financial Results、2025年2月13日時点
3 McKinsey & Company、The cybersecurity provider's next opportunity: Making AI safer、2024年11月14日時点