
Tesla stock plunges 14% on Thursday
Trump's bill could gut EV subsidy
Musk's politics weigh on Tesla's brand image
トランプ・マスク対立がテスラ株を揺るがす
テスラ社は創業以来、数々の逆風を乗り越えてきたが、今回の逆風はこれまでで最も深刻なものとなる可能性がある。CEOのイーロン・マスク氏とドナルド・トランプ大統領との間で、政治的かつ個人的な全面対立が勃発したのだ。物議を醸す連邦支出法案をめぐる政策上の意見対立として始まったこの騒動は、大規模な対立へとエスカレートし、ウォール街に衝撃を与えるとともに、投資家をこの電気自動車(EV)メーカーの短期的な見通しに対して不安にさせている。
マスク氏がトランプ政権の顧問として務めた「特別政府職員」としての短期間の任期は5月下旬に終了し、大きな注目を集めたパートナーシップは130日間で幕を閉じた。その退任は、トランプ氏の大規模な税制・歳出法案への強い反対を伴うものであり、その対立はやがてSNS上での互いへの個人攻撃へと発展した。1
先週木曜日、テスラ株は1日で14%下落し、時価総額にしておよそ1,500億ドルが失われた。この急落は、同社のファンダメンタルズに大きな変化がなかったにもかかわらず起きたものであり、投資家の懸念が主に政治的リスクによって引き起こされていたことを浮き彫りにした。
この劇的な決裂により、トランプ氏が11月の大統領選で再選を果たして以来、テスラがかつてない形で享受してきた政治的アクセスと事業上の優位性の組み合わせは崩れ去った。

出典: TradingView、テスラ日足チャート、2025年6月11日時点
事業に波及する政治的対立
マスク氏とトランプ氏の対立により、同社に対する規制上の監視が強まる可能性が高まっている。規制上のハードル、調査の可能性、EV税額控除の撤回は、いずれも現実味を帯びた脅威となっている。トランプ氏は、数十億ドル規模の連邦契約を有するスペースXを含むマスク氏の企業との政府契約を打ち切ると警告した。投資家は現在、特に自動運転技術やEV補助金の分野において、テスラが連邦機関から不利な扱いを受けるのではないかと懸念している。
運輸省(DOT)や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)がより厳格な規制を課し、テスラが現在採用していないライダーシステムなどの技術の搭載を義務付ける可能性があるとの懸念もある。一方、テスラが中国製の製造設備を輸入する際に必要な関税免除の付与といった決定も、今後ワシントンで好意的に扱われなくなる可能性がある。
かつてはテスラにとって有利に働いていたマスク氏とトランプ氏の政治的な結びつきは、今や重荷となっている。規制面での支援や税制優遇措置の延長への期待は、報復措置や政策逆風への懸念へと取って代わられた。トランプ氏がEV補助金の予算削減を提案していることを踏まえると、税額控除や政府支援の喪失はテスラの収益を圧迫しかねない。
テスラのブランドと販売もまたリスクにさらされている。同社は既に、顧客が政治的立場に敏感な欧州やカリフォルニアといった主要市場で反発に直面している。今回の対立は、EV販売の減少と競争激化という既に厳しい環境の中で、同社の立場をさらに複雑なものにしている。
販売減少とイノベーションの停滞で厳しい現実に直面するテスラ
今回の対立が起こる以前から、テスラのファンダメンタルズは既に厳しい目で見られていた。第1四半期の売上高は前年同期比9%減少し、自動車部門の売上高は、中国EV大手との激しい競争とマスク氏の物議を醸す政治的立場への反発の高まりを背景に、20%も急減した。2
米国の納車台数は今四半期も減少傾向にあり、欧州自動車工業会(ACEA)によると、テスラの欧州における販売台数は4月に前年同期比49%減少し、5月も再び二桁の減少を記録した。3 中国では、4月と5月の販売台数が前年同期比でおよそ20%減少した。
かつてテスラの代名詞であったイノベーションは、停滞しているように見える。同社は魅力的な新型EVモデルをいまだ投入できておらず、その間にBYDをはじめとする中国メーカーが手頃な価格で高品質な代替製品を世界市場に投入し続けている。品質面でもテスラには課題があり、サイバートラックについては15カ月間で8回の自主リコールを発表している。4
一方、テスラのロボタクシー構想は依然としてほとんどが将来的な野心にとどまっている。マスク氏は最近、完全自動運転(FSD)アンスーパーバイズド技術を搭載した少数のモデルYを使い、厳格に区切られた地域内でオースティンにおける試験運用を行うことを確認した。しかし、アルファベット傘下のウェイモが既に主要都市で運用を開始していることから、自動運転分野におけるテスラの優位性は薄れつつある。5 同様に、同社のヒューマノイドロボット事業も、主要幹部であるミラン・コヴァック氏の退任という痛手を被った。6
ブランド毀損と取締役会への圧力
評判への悪影響は、ますます現実味を帯びてきている。米国と欧州では、テスラが抗議活動、器物損壊、不買運動に直面している。同社の車両を「スワスティカー(ナチスの鉤十字にちなんだ蔑称)」と呼ぶ反テスラ広告が、タイムズスクエアやロンドンに出現した。7 バンクーバー国際オートショーに至っては、出展者リストからテスラを除外した。
機関投資家や行政関係者も警鐘を鳴らしている。ニューヨーク市会計監査官のブラッド・ランダー氏とメリーランド州会計監査官のブルック・リアーマン氏は、マスク氏の言動を抑制できていないとしてテスラの取締役会を公に批判し、同社のガバナンス上の欠陥が財務および事業運営上の将来を脅かしていると警告している。
メリーランド州会計監査官のブルック・リアーマン氏はまた、テスラの取締役会がテスラの長期的な利益を優先する経営体制を確保できていないと批判した。同氏は、マスク氏がテスラのアイデンティティと極めて密接に結びついているからこそ、取締役会は同社が特定の一個人に依存せずに成長できるよう取り組む必要があると強調した。マスク氏の言動はテスラの将来にとって継続的なリスクとなっており、その物議を醸す公的なイメージが、同社の最も価値ある資産の一つであるブランドを損ない続けていると警告している。1
割高なバリュエーションと脆弱なファンダメンタルズ
今週株価が反発したものの、テスラ株は年初来で20%下落しており、依然として高い予想利益倍率で取引されている。世界的な納車台数の低迷と欧州における販売不振を踏まえると、選挙後の高値である488.54ドルを短期的に再び試す展開は見込みにくい。
共和党支持層からの潜在的な支持が失われつつあることも、テスラの見通しをさらに悪化させている。マスク氏が共和党支持者との関係を疎遠にしていることで、テスラに対する好意的な消費者心理を維持する支えはほとんど残っておらず、ブランドの世間的なイメージが低下する可能性がある。
こうした混乱にもかかわらず、テスラはAI、ロボティクス、製造業、再生可能エネルギーインフラの分野で依然として強みを持っており、今回の売りはやや行き過ぎている可能性がある。ロボタクシー、ヒューマノイドロボット、エネルギーとモビリティにまたがる垂直統合に関するマスク氏の長期的なビジョンは、実行が公約に繰り返し追いついていないという現実や、世間の忍耐が薄れつつある可能性があるにもかかわらず、引き続き投資家の関心を集める可能性がある。
まとめ
イーロン・マスク氏が最近、ドナルド・トランプ元大統領との間で繰り広げた公然の対立は、米国の国家債務や財政見通しなど、マスク氏が重要とみなすより広範な政治・経済的課題への注目を集めることを狙ったものと見られる。こうした政治的関与は短期的にはテスラのブランドに対してネガティブな感情を生む可能性があるものの、突発的な感情の爆発というよりは、マスク氏のより大きな戦略の一環として意図的に行われたものと見られる。マスク氏がテスラの経営にのみ専念することを期待していた向きにとって、今回のトランプ大統領との対立は、同氏の事業と政治的関心が依然として密接に絡み合っているという現実を改めて浮き彫りにするものとなった。
マスク氏と政界要人との緊張が続く、あるいは激化する場合、投資家はテスラ株の変動性が一段と高まることに備えておくべきだろう。とはいえ、マスク氏の物議を醸す公的な立ち位置に伴うリスクがあるものの、テスラの長期的な見通しは依然として強固である。同社は、従来のEV事業単体をはるかに上回る価値を生み出すと見込まれる自動運転車、ロボティクス、エネルギー貯蔵、インフラといった先端技術分野において、引き続き成長に向けた良好なポジションにある。こうした機会を踏まえると、テスラは米国市場における自動車イノベーターの最上位グループとしての強力な地位を維持している。
脚注:
1 CNBC、Tesla already had big problems. Then Musk went to battle with Trump、2025年6月7日時点
2 Tesla、Q1 2025 Quarterly Update、2025年4月時点
3 Coinbase、Earnings Call Transcript、2025年5月8日時点
4 CNET、Every Tesla Cybertruck Recall Since the Vehicle Was Released、2025年3月20日時点
5 CNBC、Elon Musk confirms Tesla plan for robotaxis on Austin roads in June、2025年5月21日時点
6 Reuters、Tesla's head of Optimus humanoid robot program to leave firm、2025年6月7日時点
7 Newsroom、Activists Brand Tesla Vehicles with 'Swasticar' Stickers、2025年1月30日時点