
かつては安定した値動きを見せていたLululemon株だが、最近になって劇的な急落を経験している。現在の株価は180ドル前後で推移しており、年初の水準を約50%下回るとともに、過去最高値からは60%以上下落している。
この「ダウンワード・ドッグ」銘柄に、回復の道はあるのか。現状を見ていこう。

2025年の冴えない決算
Lululemonの2025年の決算は冴えない内容が続いており、株価の急落を招いている。
3月、同社は2024会計年度第4四半期決算の発表に際し、弱気な通期見通しを示し、インフレや景気に対する懸念の高まりを背景に消費者の支出が減少していると指摘した。これを受け、株価は14%下落した。
続く6月(2025年度第1四半期1)には、同社が通期のEPSガイダンスを14.95〜15.15ドルから14.58〜14.78ドルへと引き下げた。1これを受け、株価は20%下落した。
さらに直近の9月には、第2四半期2決算の発表を受けて株価が19%下落した。今回、Lululemonは2025年度の売上高・利益予想の両方を引き下げ、売上高ガイダンスを5〜7%増から2〜4%増へ、EPSガイダンスを12.77〜12.97ドルへとそれぞれ下方修正した。
何が問題だったのか
このアスレジャーウェア企業で何が問題だったのかについては、複数の要因が絡んでいる。
まず、同社の最大市場である北米での需要が大幅に鈍化している。例えば第2四半期2では、北米の既存店売上高は前年同期比4%減(為替一定ベースでは3%減)となった。第1四半期1では2%減(為替一定ベースでは1%減)だった。
競争の激化がこの背景にある主要な要因である可能性が高い。現在、高価格帯のヨガ・アスレジャー市場はAlo Yoga、Vuori、Fabletics、Athletaなどがしのぎを削る非常に競争の激しい市場となっている。

しかし、製品面の問題も需要減少の一因となっているとみられる。同ブランドは最近、アスレジャーウェアの新たなトレンドへの対応が遅いと批判されており、カルビン・マクドナルドCEOも、製品サイクルが長引きすぎたことでブランドが「予測可能になりすぎた」ことを認めている。
需要減少に加え、Lululemonは米国の関税によっても打撃を受けている。同社はベトナムとカンボジアの両国に主要な生産拠点を持つため、関税は利益に大きな影響を及ぼしている。米国が800ドル未満の輸入貨物を関税免除としていた「デミニミス」特例を終了したことも、同社にとってもう一つの逆風となっている。これら2つの問題の結果、Lululemonは今年2億4,000万ドル3、2026年には最大3億2,000万ドルの追加コストが発生する見通しだとしている。
Lululemonはどのように自社の状況を改善できるのか
同社は改善の余地があることを認めており、事態の立て直しに向けて注力している。同社の戦略は、グローバル展開の加速と、北米市場における製品の新鮮さの欠如への対応を中心に据えている。
具体的には、成長が力強く続く中国市場(第2四半期2の前年同期比成長率は25%)に注力を強めている。今年、同社は年間で40〜45店舗4の新規出店を計画しており、その多くが中国での出店となる見込みだ。
製品開発面では、Lululemonは新しいスタイルやデザインをより早く市場に投入できるよう、プロセスの全面的な見直しを進めている。同社の目標は、来春までに全カタログに占める新スタイルの比率を現在の約23%から約35%5に引き上げることだ。
これらに加え、Lululemonは関税負担の軽減にも取り組んでいる。デミニミス特例の廃止と、ベトナム・カンボジアに対する高関税を受け、見込まれる2億4,000万ドルの関税負担を相殺するため、サプライチェーンの調整を進めている。
総じて、この立て直し計画は、競合他社が容易に模倣できない最先端のデザインと機能性を備えたプレミアムブランドとしてのLululemonのアイデンティティを再確立し、売上成長と収益性の水準を改善するための取り組みである。

市場平均を下回るバリュエーションでの取引
Lululemonが変革計画において意味のある進展を示すことができれば、バリュエーションが見直される余地は確かに存在する。現在、株価は当会計年度の予想利益に対しわずか13.8倍で取引されている。
このPER水準では、同社は市場平均に対し大幅なディスカウントで取引されていることになる。したがって、現時点での市場の期待値は非常に低い状態にある。
現在、この銘柄に投資価値を見出しているとみられる投資家の一人が、「ビッグ・ショート」で知られる投資家マイケル・バリー氏だ。6同氏のファンドの最新の13F報告書によると、同氏は第2四半期にLululemon株5万株に加え、コールオプション40万口を取得している。
なお、アナリストは今年、業績予想と目標株価の引き下げを続けているものの、平均目標株価は現在の株価を大きく上回っている点は注目に値する。現在の平均目標株価は208ドルであり、現在の株価を約17%上回っている。
低いバリュエーション、平均目標株価、そして伝説的投資家マイケル・バリー氏による最近の買い動向を踏まえると、この銘柄は注目に値するかもしれない。同社が立て直しの兆候を示すことができれば、株価は反発する可能性がある。
脚注:
1 lululemon athletica inc. Announces First Quarter Fiscal 2025 Results、2025年6月5日時点
2 lululemon athletica inc. Announces Second Quarter Fiscal 2025 Results、2025年9月4日時点
3 Yahoo Finance、Lululemon slides as weak US demand, tariff costs cloud holiday outlook、2025年9月5日時点
4 lululemon 2024 Annual Report
5 CNBC、Lululemon shares plunge 20% as it slashes earnings outlook, projects $240 million tariff hit、2025年9月4日時点
6 Yahoo Finance、Michael Burry of 'The Big Short' Just Bought Shares of This Beaten-Down Activewear Stock (Not Nike)、2025年9月2日時点