
かつては安定したパフォーマンスを誇っていたUnitedHealth(UNH)株が、2025年に入り大きな打撃を受けています。現在、年初来で約50%下落しており、ダウ工業株30種平均の中で最大の下落銘柄となっています。約5年分の上昇分を帳消しにしたこの急落は、投資家にとって好機となり得るのでしょうか。状況を詳しく見ていきましょう。
UNH株が2025年に急落した理由
UnitedHealth株が2025年に売り込まれた理由を理解するのは難しくありません。まず、4月に発表された第1四半期決算1が非常に失望的な内容でした。UNHは2008年以来初めてとなる決算未達で投資家を驚かせました(一株当たり利益は7.20ドルで、コンセンサス予想の7.29ドルを下回りました)。さらに、通期の一株当たり利益(EPS)ガイダンスを29.50~30ドルから26~26.50ドルへと引き下げ、市場に衝撃を与えました。当時、同社は医師サービスおよび外来診療を中心に医療需要が予想を上回ったことをガイダンス引き下げの理由に挙げました。また、Optum Healthの会員構成に「予期せぬ変化」が生じ、2025年の想定払戻額に影響を与えたとも説明しています。
UNHは5月中旬2にも再び市場に衝撃を与えました。医療費の急増を理由に通期予想の取り下げを発表するとともに、Andrew Witty最高経営責任者(CEO)の辞任を発表したのです。これらの動きを受け、株価は一時20%近く下落し、4年ぶりの安値をつけました。Wittyの後任には、2006年から2017年まで同社のCEOを務め、力強い成長期を主導した実績を持つStephen Hemsley会長が就任しました。しかし、これも株価センチメントの改善にはつながりませんでした。HumanaやElevance Healthなど他の保険会社が堅調な業績を上げる中、投資家はUnitedHealthの問題が業界全体の傾向というより、同社固有のものではないかと疑念を強めていきました。
5月にはさらに、株価を圧迫する複数の問題にUNHが巻き込まれました。5月15日3には、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、米司法省がメディケア詐欺の疑いで同社に対する刑事捜査を行っていると報じたことを受け、株価が下落しました。続いて5月21日4には、英ガーディアン紙が、同社が入居者を病院に搬送させないよう介護施設に対して秘密裏に金銭を支払い、入居者の健康を危険にさらしていたと報じたことで、株価は再び打撃を受けました。
さらに直近では、第2四半期決算5の発表でもUNHは投資家を再び失望させました。調整後EPSは一株当たり4.08ドルと、前年同期の6.80ドルから減少し、コンセンサス予想の4.48ドルを大きく下回りました。同社は通期ガイダンスも再度引き下げ、2025年のEPSはわずか16ドルになると見込んでいます(アナリストは20.90ドルを予想していました)。経営陣はガイダンス引き下げの理由として、想定を上回る医療費の増加を挙げています(通期の医療費は当初予想より65億ドル高くなる見通しです)。この決算を受け、株価はさらに7.5%下落しました。

今後の見通し
今後、株価が反発する可能性は確かにあります。経営陣は、現在の問題を解決し、成長軌道に会社を戻せると明確に確信しています。「目標達成や機会実現の妨げとなっている問題の多くは、大部分が当社のコントロール可能な範囲内にある」と、新CEOのStephen Hemsley氏は5月の投資家向け電話会議で述べました。第2四半期決算では最近、「UnitedHealth Groupは、個人と社会全体の医療ニーズに十分に応える高業績企業へと立ち返るための、厳格な道のりを歩み始めている」と述べ、来年には成長への回帰が見込めるとの見解を示しました。

業績立て直しに向け、経営陣は事業運営の改善を目的とした複数の施策を進めています。具体的には、価格設定の見直し、将来予測能力の強化、業務慣行の改善、そして消費者・医療提供者双方の体験向上などが挙げられます。また、基盤強化と事業の近代化に向けて、重点分野への投資を加速する計画です。同社は強固なバランスシートを有しており(6月30日時点の総資本に対する負債比率は44.1%)、問題解決に取り組むための財務的な余力を備えている点にも注目すべきでしょう。

ここで指摘しておくべきは、同社が6月に四半期配当を5%増配し、2.21ドルとしたことです。これは経営陣の自信の表れと見ることもできます。UNHは自社株買いも継続しており、2025年上半期には55億ドルを株主に還元しました。もし経営陣が先行きを懸念しているのであれば、増配や自社株買いを実施する可能性は低いでしょう。
株価そのものに目を向けると、現在の評価水準は市場平均を大きく下回っています。現在の株価250ドルに対し、EPS予想16ドルを用いた予想株価収益率(PER)はわずか15.6倍です。多くのアナリストは、16ドルというEPS予想には上振れサプライズの余地があると見ています。第2四半期決算発表後、Novare Capital Managementのリサーチアナリスト、James Harlow氏は「16ドルというEPSの下限は予想より低かったものの、投資家やアナリストがモデルを組み立てる基準を提供するものであり、UNHが投資家に馴染み深かった『上振れと上方修正』のペースに回帰する土台となる可能性がある」と述べています。
興味深いことに、直近では多くのアナリストがUNHの目標株価を引き下げている一方で、平均目標株価は依然として現在の株価を大きく上回っています。LSEGによると、現在の平均目標株価は339ドル6です。これは現在の株価より約36%高い水準です。つまり、現在RSI(相対力指数)が「売られ過ぎ」水準にあるこの銘柄には、上昇余地があるというのが大方の見方です。
もちろん、株価がその水準に達する保証や、短期間で反発する保証はありません。目標株価286ドル7を掲げるRBCキャピタル・マーケッツのアナリストによれば、メディケイドの料率とメディケア・アドバンテージを巡る逆風は来年も続く可能性が高いとしています。一方、モルガン・スタンレーのアナリストは、回復への道筋は完全には明確ではなく、特にOptum Health部門を中心に、同社は実行力の面で証明すべき点が多いと指摘しています。最終的に株価が回復するには、同社が投資家の信頼を再構築する必要があるでしょう。
脚注:
1 UnitedHealth Group Reports First Quarter 2025 Results and Revises Full Year Guidance, 2025年4月17日時点
2 Yahoo Finance, UnitedHealth Group stock sinks as CEO steps down, company suspends guidance, 2025年5月13日時点
3 Reuters, UnitedHealth tumbles as criminal probe report adds to investor fears, 2025年5月15日時点
4 The Guardian, Revealed: UnitedHealth secretly paid nursing homes to reduce hospital transfers, 2025年5月21日時点
5 UnitedHealth Group Re-Establishes Full Year Outlook and Reports Second Quarter 2025 Results, 2025年7月29日時点
6 LSEG, 2025年8月1日時点
7 Investing.com, RBC Capital lowers UnitedHealth Group stock price target to $286 on margin headwinds, 2025年7月30日時点