PayPal株は足元で大きく売り込まれている。この1年で株価は約50%1下落し、Apple、Googleをはじめとするフィンテック業界の競合他社との競争激化に対する投資家の懸念が強まっている。
株価は反発できるのか。ここでは現在の状況を見ていく。
第4四半期決算は低調
PayPalの2025年第4四半期決算2は失望を誘う内容だった。同四半期の売上高は87億ドルで、為替一定ベースの前年同期比増収率はわずか3%にとどまり、コンセンサス予想3の88億ドルを下回った。
非GAAPベースのEPS(一株当たり利益)は1.23ドルで、こちらも前年同期比3%増にとどまった。アナリスト予想は1.28ドルだった。
先行きについて、同社は2026年第1四半期の非GAAP EPSが一桁台半ばの減少になると見込んでいる。2026年通期では、非GAAP EPSが一桁台前半の減少、あるいは前年並みでわずかにプラスとなる水準を見込んでいる。
決算発表前、ウォール街は2026年のEPSについて8%の増益を予想していた。そのため、今回の業績ガイダンスは市場予想を大きく下回るものとなった。
新CEOが就任へ
第4四半期決算と2026年ガイダンスは低調だったものの、PayPal株について楽観視できる材料もいくつかある。その一つが、同社が先般アレックス・クリス氏をCEOから退任させた4ことだ。後任には、かつてHPのCEOを務めたエンリケ・ロレス氏が就任し、2026年3月1日付で着任する予定である。PayPalの取締役会は、HPを戦略的な転換とイノベーションの時期にわたって見事に導いたロレス氏こそが、PayPalを次の成長段階へ導くために必要なリーダーシップを発揮できると考えている。

ロレス氏は、短期的な業績達成とのバランスを取りながら、長期的な変革を実現するため、PayPal社内のイノベーション文化の強化を目指している。CEO就任にあたり同氏は次のように述べた。「決済業界は、新たなテクノロジー、変化する規制、競争環境の激化、そして商取引を日々作り変えているAIの急速な進化により、かつてないスピードで変化している。PayPalはこの変化の中心に位置しており、私はチームを率いて新たなイノベーションの実現を加速させ、デジタル決済と商取引の未来を形作っていくことを楽しみにしている」
改善の余地
ロレス氏が確実に着手するとみられる課題の一つが、近年苦戦が続くPayPalのブランド付きチェックアウト事業である。例えば第4四半期5、オンラインのブランド付きチェックアウトの総決済金額(TPV)は、為替の影響を除いたベースでわずか1%増にとどまった(第3四半期は5%増)。
今後、同社はユーザー体験の改善に注力し、生体認証やパスキーの採用を通じて摩擦のない消費者体験を実現していく方針である。また、加盟店のウェブサイト上での自社サービスの訴求力を高めるとともに、魅力的な消費者インセンティブを伴うリワードや共同マーケティング契約を通じてロイヤルティ特典を提供したい考えだ。
ロレス氏にとって明るい材料は、現時点で好調な事業分野が存在することだ。その一つがVenmoで、2025年の売上高は前年比20%増の17億ドルとなり、アクティブアカウント数は合計1億口座を突破した。後払い決済(BNPL)も2025年に勢いを見せた事業分野の一つで、TPVは400億ドルと前年同期比20%超の増加となった。
大規模な自社株買い
もう一つの楽観材料は、同社が大規模な自社株買いを実施していることだ。第4四半期にPayPalは約2,300万株を買い戻し、株主に15億ドルを還元した。2025年通期では、約8,600万株の買い戻しにより60億ドルを株主に還元した。こうした自社株買いにより発行済株式数は大きく減少しており、今後のEPSを下支えする要因となる。
割安なバリュエーション
現在の株価バリュエーションは非常に低い水準にある。2026年に増益がないと仮定した場合、EPSは5.30ドル程度になる見込みで、これは現在の株価にもとづくとわずか7.5倍という予想PER(株価収益率)に相当する。この低い株価収益率を踏まえると、新CEOのエンリケ・ロレス氏が成長軌道への回帰を実現できれば、バリュエーションが大幅に上方修正される余地がある。
なお、ウォール街のアナリストは足元でPayPalの目標株価を引き下げる動きを見せている6が、現在の株価を大きく上回る目標株価を提示する証券会社も複数存在する。
RBCキャピタル・マーケッツ – 59ドル
サスケハナ – 63ドル
みずほ証券 – 60ドル
これらの目標株価は、アナリストが今後の株価回復の余地を見込んでいることを示している。
PayPal株は反発できるか
現在の株価バリュエーションは非常に低い水準にある。2026年に増益がないと仮定した場合、EPSは5.30ドル程度になる見込みで、これは現在の株価にもとづくとわずか7.5倍という予想PERに相当する。この低い株価収益率を踏まえると、新CEOのエンリケ・ロレス氏が成長軌道への回帰を実現できれば、バリュエーションが大幅に上方修正される余地がある。
脚注:
1 Google Finance、2026年11月6日時点
2 PayPal Reports Fourth Quarter and Full Year 2025 Results、2026年2月3日時点
3 CNBC、PayPal shares plunge nearly 20% on CEO exit, disappointing 2026 profit forecast、2026年2月3日時点
4 PayPal Newsroom、PayPal Appoints Enrique Lores as Chief Executive Officer and David W. Dorman as Independent Board Chair、2026年2月3日時点
5 The Motley Fool、PayPal (PYPL) Q4 2025 Earnings Call Transcript、2026年2月3日時点
6 Investing.com、PayPal Holdings Inc (PYPL)、2026年2月6日時点