投資には元本を失うリスクが伴います。投資元本の全額を失う可能性があります。

ASMLはAI関連チップの旺盛な需要に支えられ、好調な第4四半期決算を発表しました。
受注額は前四半期比で2倍以上に拡大しました。
ASMLはDeepSeekについて、より安価なAIモデルがチップ需要のさらなる拡大につながる可能性があるとして、総じてプラス要因と捉えています。
極端紫外線(EUV)露光装置メーカーであるASMLは、半導体製造装置分野で世界をリードするメーカーであり続けています。同社の装置は、Nvidia、Appleをはじめとする大手テック企業に供給するTSMCなど主要顧客向けの最先端AIチップの製造を可能にしています。
ASML――半導体業界向けの世界的サプライヤーである同社は、2024年第4四半期決算で市場予想を上回る好業績を発表し、AI主導の半導体需要に対する投資家の信頼感を強めました。
中国のAI企業DeepSeekを巡る市場の動揺――同社の低コストAIモデル発表を受けて月曜日にASML株が急落した――にもかかわらず、ASMLの好調な受注はセクターの底堅さが続いていることを示しています。
決算ハイライト
ASMLの2024年第4四半期決算は、最先端チップ製造装置に対する旺盛な需要を裏付ける内容となり、純受注額は前四半期比で2倍以上に拡大、半導体投資への信頼を強めました。
EPS(一株当たり利益):6.85ユーロ(2024年第3四半期の5.28ユーロから上昇)
純利益:26.9億ユーロ(2024年第3四半期の20.7億ユーロから増加)
純受注額:70.9億ユーロ(第3四半期の26.3億ユーロから169%増)
粗利益率:51.7%2024年通期決算:
2024年通期決算:
売上高合計:282.6億ユーロ(2023年の275.6億ユーロを上回る)
EPS:19.25ユーロ(2023年の19.91ユーロをわずかに下回る)
純利益:75.7億ユーロ(2023年の78.4億ユーロを下回る)
粗利益率:51.3%
純受注額合計:188.9億ユーロ(2023年の200.4億ユーロをわずかに下回る)

出典:ASMLプレスリリース・発表資料、2025年1月29日時点
市場の反応とAI投資トレンド
ASMLの好調な第4四半期決算は、DeepSeekが新たに発表した低コストAIモデル「R1」を受けて週初に起きたハイテク株全般の急落後、投資家心理を落ち着かせる材料となりました。米トップクラスのモデルに匹敵する性能をわずかなコストで実現し、テック業界に衝撃を与えたR1について直接的なコメントは避けたものの、クリストフ・フーケCEOはAIチップ需要の減速懸念を否定し、R1モデルはむしろAIチップ需要を押し上げるとの見通しを示しました。フーケ氏は、AIコストの低下がより幅広い普及を促し、結果として半導体需要の増加につながる可能性があるとの楽観的な見方を示しました。
決算発表後、投資家心理は急速に持ち直し、ASML株は12%上昇しました。この反発により、DeepSeekの効率性向上によるAI投資動向の変化懸念で生じていたそれまでの下落分は相殺されました。
総じて、ASMLは大手テック企業による積極的なAIインフラ投資の恩恵を受けるとみられます。例えば、Metaは2025年のAI関連支出を650億ドルに拡大する計画です。OpenAI、ソフトバンク、Oracleが参画するStargateプロジェクトでは、テキサス州のAIデータセンターに合計1,000億ドルを投資する見通しであり、TSMCは設備投資を最大42%増加させる計画を示しています。
こうした巨額投資は、ASMLの最先端露光技術に対する需要の継続を裏付けるものであり、AI主導の半導体製造における同社の重要な役割を確固たるものにしています。
輸出規制
かつて最大市場であった中国は、輸出規制の強化により現在は米国の後塵を拝しており、今後さらなる規制強化がリスクとして残っています。第4四半期には米国が中国を抜いてASMLの最大市場となり、売上高の28%を占め、中国の27%をわずかに上回りました。この変化は、TSMCのアリゾナ工場拡張向けの主要受注や、Intelが2024年のHigh-NA EUV装置の在庫を全量取得したことを反映しており、SamsungとSK Hynixは装置の納入を来年まで待たざるを得なくなりました。
2024年には米国の輸出規制を見越した在庫積み増しにより中国企業からの需要が強かったものの、ASMLは2025年の中国売上高比率が20%まで低下すると見込んでいます。オランダ政府は米国の圧力を受け、ASMLが最先端装置を中国に販売することを制限しており、同地域における成長余地を狭めています。
地政学的緊張はASML株の重しとなっており、特に前四半期の決算が期待を下回った後は顕著でした。今回の圧力は、オランダおよび米国による輸出規制に起因するもので、先端チップ技術への中国のアクセスをさらに制限しています。もっとも、ASMLは事業構成が今後安定していくとの見方を示しており、米国による対中半導体輸出規制が業績見通しに影響を与えるとは想定していないとしています。

出典:TradingView、2025年1月30日時点
今後の見通し
ASMLの受注残高は2024年末時点で約360億ユーロとなり、長期的な需要の底堅さを裏付けています。今後については、第1四半期の売上高を75億~80億ユーロと市場予想を大きく上回る水準で見込んでおり、粗利益率は52~53%を予想しています。2025年通期については、売上高300億~350億ユーロ(前年比7~25%増に相当)というガイダンスを据え置き、粗利益率は51~53%を見込んでいます。
一部の半導体メーカーがAI需要の取り込みに向けて積極的に生産能力を拡大する一方、先行きが不透明な企業もあり、ASMLの2025年売上高見通しにはばらつきが生じています。とはいえ、同社はHigh-NA EUVシステムの採用拡大を追い風に、良好なポジションを維持しています。
ASMLの好調な決算と自信に満ちた見通しは、DeepSeekの低コストAIモデルがハイエンドチップ需要を損なうとの懸念が行き過ぎであったことを示唆しています。同社の決算発表は、Meta、Microsoft、Tesla、Amazon、Appleの重要な決算発表に先立つものであり、AI主導の半導体需要に対する強気なトーンを先取りする形となる可能性があります。
配当と自社株買い
ASMLは2024年の配当総額を4.9%増配し、一株当たり6.40ユーロに引き上げると発表しました。中間配当は一株当たり1.52ユーロで2025年2月19日に支払われる予定であり、期末配当については一株当たり1.84ユーロの提案が株主総会に諮られます。
好調な業績にもかかわらず、ASMLは資本配分戦略全般を考慮し、現行の2022~2025年自社株買いプログラムのもとで第4四半期に自社株買いを実施しませんでした。
増配は、ASMLが長期的な成長に自信を持っていることを裏付ける一方、自社株買いに対する慎重な姿勢は、今後の戦略的投資と財務の柔軟性を重視する方針を示唆しています。
ASMLへのエクスポージャーを検討するプロ投資家は、Leverage Shares 2x Long ASML Daily ETF(ティッカー:ASMG)をご検討いただけます。