
AMD、2025年第1四半期決算は予想上回るも、中国向け半導体規制により15億ドルの減収見通し
Advanced Micro Devicesは2025会計年度第1四半期に堅調な業績を計上し、利益・売上高ともにウォール街の予想を上回った。同社の成長はAIおよびデータセンター向けチップの需要急増に支えられた一方、米国による対中輸出規制が今年度残りの期間における大きな逆風となる見通しだ。
第1四半期決算ハイライト
一株当たり利益(EPS、調整後):0.96ドル(予想0.94ドル)
売上高:74.4億ドル(予想71.3億ドル)
純利益(調整後):15.7億ドル(予想15.5億ドル)
AMDは調整後一株当たり利益(EPS)0.96ドルを計上し、コンセンサス予想の0.94ドルを上回った。四半期の売上高は74.4億ドルとなり、前年同期比36%増となったほか、Bloombergがまとめたデータによるアナリスト予想の71.2億ドルも上回った。
同社の純利益は前年同期の10.1億ドル(希薄化後一株当たり0.62ドル)から15.7億ドル(希薄化後一株当たり0.96ドル)へと大きく増加した。この大幅な改善は、世界的なサプライチェーンの課題や規制監視の強化にもかかわらず、AMDがコスト管理と事業規模拡大の両面で効率性を維持し続けていることを裏付けている1。
セグメント別サマリー
データセンター部門、AIチップ需要で57%増収
AMDの業績を牽引した主な要因はデータセンター部門であり、売上高は37億ドルと前年同期比57%増を記録した。この成長は、大規模なAI学習・推論に不可欠なEpycサーバー用CPUおよびInstinct GPUの導入拡大を反映したものである。リサ・スーCEOは、AMDのAIチップがOpenAIやDeepSeekをはじめとするトップクラスのAI開発企業で積極的に採用されていることを確認しており、高性能AIハードウェア市場におけるAMDの信頼性が高まっていることを裏付けている。
クライアント部門は予想を上回る成長、ゲーミング部門は減収
ノートPCおよびデスクトップ向けプロセッサを含むクライアント部門の売上高は23億ドル1となり、アナリスト予想の20億ドルを上回った。これは前年同期比68%増に相当し、2024年夏に発売されたZen 5チップの好調な採用が背景にある。
一方、ゲーミング部門はコンソール向けチップの売上が軟化し、前年同期比30%減の6.47億ドル1となった。AMDはこの減少について、コンソールのライフサイクル後半における販売の弱含みおよび関税圧力の影響を要因として挙げている。コンソール販売はさらに、コスト構造の変化に対応して価格戦略を調整しているMicrosoftやSonyなどのパートナー各社の値上げの影響も受けた。
組み込み部門はマクロ経済の不透明感の中で小幅減収
2022年のXilinx買収に伴う収益を含む組み込み部門の売上高は8.23億ドルとなり、前年同期比3%減となった1。この小幅な減少は、組み込みチップが主に使用される産業・通信市場全般における需要の減速を反映したものである。同部門はAMDの多角化事業における戦略的な位置づけを引き続き維持しているものの、世界経済の軟化を背景に一時的な逆風に直面している。
米国の輸出規制、15億ドルの減収リスクに
AMDの製品面での勢いは依然として強いものの、同社は規制面での大きな逆風について警告した。中国向けAIチップに対する米国の新たな輸出規制により、AMDは2025会計年度の売上高が15億ドル減少すると見込んでおり、これはウォール街が予想する通期売上高310億ドル2の5%近くに相当する。
同社は第1四半期に、在庫引当金および購入コミットメントに関連する8億ドルの費用計上を行ったと発表したほか、この新規制がAMDのInstinct MI308X AIプロセッサの出荷に影響を及ぼすことから、第2四半期には7億ドルの販売機会損失を見込んでいる1。
同社は、Instinct MI308Xの対中出荷に関して最近発表された輸出規制を含め、マクロ経済・規制環境からの逆風に直面しているものの、業界をリードする製品ポートフォリオがもたらす強力な追い風によって、それを上回る形で相殺される可能性がある。
AMD、2025年第2四半期は強気のガイダンスを提示
AMDは第2四半期の売上高予想として74億ドル(上下3億ドル)という強気の見通しを示し、これはコンセンサス予想の72.5億ドル3を上回るものだった。粗利益率のガイダンスは43%となっており、前述の輸出関連費用の影響を受けている。
スー氏は、輸出規制にもかかわらず、MicrosoftやMetaをはじめとする企業顧客・ハイパースケーラー顧客からの旺盛な需要に支えられ、2025年のAI関連売上高は「力強い二桁成長」を遂げる見通しであるとの自信を示した。

出典:TradingView、2025年5月8日時点
AI関連銘柄は短期的なボラティリティに直面
半導体セクターはここ数カ月、大きな乱高下に見舞われている。AI成長への期待が過熱しすぎているとの見方から、AMDやNvidiaといった銘柄には圧力がかかっている。加えて、DeepSeekがそれほど高性能ではないチップを用いて効率的なAIモデルを発表したことも、今後のハードウェア需要に対する懸念を高める要因となった。
こうした懸念に拍車をかけているのが、継続中の関税リスクである。現行の関税措置ではノートPCおよびデスクトップは適用除外となっているものの、半導体については米商務省によるSection 232調査4の下で追加関税の可能性が検討されている。
火曜日の決算発表を受け、AMD株はやや上昇したものの、米中間の緊張やNvidiaとの激しい競争を踏まえてAMDがAI市場の機会をどこまで取り込めるかについて、投資家の不透明感を反映した動きにとどまった。AI成長の鈍化や、規制変更を見越した在庫積み増しに伴うリスクも、投資家心理の重荷となっている。
AMD株はこの1年、下降トレンドチャネルの範囲内で推移しており、2024年3月につけた過去最高値227.30ドルから2025年4月には76.48ドルまで下落した。当社の見方では、同株は短期的に下降トレンドラインが交わる131.00ドル水準まで反発する可能性があるとみられる。ただし現時点では、長期的な下降トレンドが転換したことを示す兆候は見られない。テクニカル分析の観点からは、投資家が新たな上昇トレンドの発生に確信を持つためには、このダイナミック・レジスタンス水準を上抜けることが必要である。
まとめ:
AMDの2025年第1四半期決算は、次世代データセンターおよびAIハードウェアにおける同社の強さを裏付けるものであり、テック業界で最も成長の速い分野の一つで大きなシェアを獲得できる立場にあることを示している。しかし、特に対中輸出をめぐる規制・地政学リスクが、短期的な上値を抑え、株価にボラティリティをもたらす可能性がある。
長期的な視点を持つ投資家にとっては、現在の規制面での混乱がエントリーの好機と映る可能性がある一方、短期トレーダーは引き続きヘッドラインリスクに敏感な状態が続くとみられる。
脚注:
1 AMD Investor Relations、「AMD、2025年第1四半期決算を発表」、2025年5月6日時点
2 AMD決算説明会、AMD 2025会計年度第1四半期決算、2025年5月7日時点
3 AMD決算予想、2025年5月8日時点
4 連邦官報(Federal Register)、「半導体および半導体製造装置の輸入に関するSection 232国家安全保障調査に係るパブリックコメント募集通知」、2025年4月16日時点