
AMDは市場予想を上回る第4四半期の売上高・利益を発表
データセンター売上は2024年に前年比ほぼ2倍に拡大したものの、予想には届かず
第1四半期の売上高見通しはウォール街予想を上回る
第1四半期の売上高見通しはウォール街予想を上回る
Advanced Micro Devices(AMD)は2024年第4四半期および通期の決算を発表し、売上高・一株当たり利益(EPS)ともに市場予想を上回りました。第4四半期の売上高は77億ドル、粗利益率は51%となりました。営業利益は8.71億ドル、純利益は4.82億ドル、希薄化後EPSは0.29ドルでした。非GAAPベースでは、粗利益率54%、過去最高となる営業利益20億ドル、純利益18億ドル、希薄化後EPS1.09ドルを記録しました。2024年通期では、AMDは過去最高となる258億ドルの売上高を計上しました(注1)。
EPS(一株当たり利益):1.09ドル(調整後)対コンセンサス予想1.08ドル
売上高:76.6億ドル対コンセンサス予想75.3億ドル
AMDは第1四半期について慎重な見通しを示し、売上高は71億ドル(プラスマイナス3億ドル)とコンセンサス予想の約70億ドルを上回る水準を見込むとともに、粗利益率は約54%を予想しています。
データセンター事業の動向とAI競争
AMDは、Nvidiaが優位に立つ先進的AIプロセッサ市場での存在感拡大に取り組んでおり、AmazonやMicrosoftなど大手テック企業に製品を供給しています。投資家の大きな注目点となったのが、AI関連ハードウェア需要を背景に成長を続けるデータセンター部門です。同部門の売上高は38.6億ドルで前年同期比69%増となりましたが、FactSetのアナリスト予想41.4億ドルには届かず、AIモメンタムに対する懸念が広がりました。通期では、データセンター売上高は94%増の126億ドルとなり、うち50億ドルがAI用途向けInstinct GPUによるものでした。
AMDは世界有数の大手企業に対し、自社のAI製品をデータセンター拡張計画に組み込むよう働きかけていますが、依然としてNvidiaに大きく水をあけられています。AMDのアクセラレータチップ(AIモデル開発向け)による年間売上は50億ドルを超えていますが、Nvidiaの同分野の売上高は年間1,000億ドルを上回ります(注2)。
アナリストとの決算説明会において、AMDのリサ・スー会長兼CEOは、当四半期のデータセンター売上高は前四半期比で約7%減少する見込みであり、これはAMD全体の売上高の減少見通しと整合的であると述べました。
今後の見通し
AMDは、2025年に力強い二桁台の売上高・EPS成長を達成できるとの自信を示しました。年央までに改良版製品を投入し、下半期の業績を強化する計画としています。ただし2025年上半期については、AIチップ売上高は2024年下半期と同水準にとどまると見込んでいます。
競争が激化する中でも、AMDはPC、ゲーミング、組込み向けチップなど複数分野に事業を分散させており、単一セグメントの変動に対する一定の耐性を備えています。とはいえ、同社にとって最も重要な事業はデータセンター向けチップ販売部門であることに変わりはなく、デスクトップ向けチップを含むクライアント部門で予想を上回ったことについては、市場からほとんど評価されませんでした。
スー氏はAIチップの売上高見通しについて具体的な数字を示すことを避けたものの、「今後数年で数百億ドル規模」の売上を見込んでいると述べました。データセンター事業――Nvidiaへのキャッチアップに苦戦している分野――について具体的な売上目標が示されなかったことは、投資家から好意的に受け止められませんでした。Nvidiaが過去2年連続で売上高を倍増させてきたこともあり、投資家心理は総じて慎重な状態が続いています。

出典:TradingView、2025年2月6日時点
AI懸念の高まりでAMD株が急落、PC部門は堅調
データセンター事業の低調な業績は、中国のスタートアップDeepSeekなどコスト効率の高いAIモデルを提供する新たな競合が台頭する中、AMDのAI事業拡大が勢いを失いつつあるとの懸念を強めました。
対照的に、AMDのPC・ゲーミング部門は明暗が分かれる結果となりました。デスクトップ・ノートPC向けチップの売上高は前年比58%増の23億ドルとなった一方、ゲーミング売上高は需要の弱まりを反映し59%減の5.63億ドルへと大きく落ち込みました。
AMDの第4四半期売上高は予想を上回り、当四半期についても堅調な見通しを示したものの、データセンター事業への懸念が好調な結果の印象を上回りました。
今回の決算は、AMDのAI事業拡大が勢いを失いつつあるとの懸念を改めて強めるものとなりました。AMDはCPU市場でIntelからシェアを奪い続けているものの、GPU分野では依然としてNvidiaに大きく後れを取っており、その差を縮めるのは容易ではありません。こうした懸念は、より低コストなモデルを提供する中国のスタートアップDeepSeekの台頭によって、ここ数週間でさらに強まっています。
投資家の反応は速く、かつ否定的なものとなり、AMD株は水曜日に8%超下落しました。決算発表前の時点で、AMD株はすでに2025年に入って4%超下落しており、2024年3月に付けた最高値227.30ドルから50%超下回る水準にあります。二次的な下降トレンドは依然として続いているものの、週足チャートでは株価が売られ過ぎの水準に近づきつつあり、近く下値支持を見出したうえで140~150ドルへの反発が起こる可能性が示唆されています。
結論
半導体業界は、人工知能(AI)および高性能コンピューティングに対する需要拡大を背景に、爆発的な成長を遂げてきました。大手チップメーカーであるAMDは、特にデータセンター分野においてこうしたトレンドの取り込みを図ってきました。データセンター売上高がほぼ倍増したにもかかわらず、この分野の売上高がアナリスト予想に届かなかったことで、市場は否定的に反応しました。
AI需要の拡大が続く中、AMDは投資家の信頼を取り戻し、長期的な成長を維持するために、Nvidiaに対する競争力強化を加速させる必要があります。今後数四半期は、AMDがAI分野での野心を具体的な市場での成果へと転換できるかどうかを見極める上で重要な局面となるでしょう。
AMD株へのエクスポージャーを検討するプロ投資家は、Leverage Shares 2x Long AMD Daily ETF(ティッカー:AMDG)をご検討いただけます。
脚注:
注1 AMDプレスリリース「AMD、2024年第4四半期および通期決算を発表」2025年2月4日時点 注2 NVIDIAニュースルーム「NVIDIA、2024年度第4四半期決算を発表」2024年2月21日時点