2025年7月22日

AIチップトレンド:TSMCとASMLの第2四半期決算を読み解く

リサーチインサイト

AI Chip Trends

コンピューターチップは、今日私たちが目撃している人工知能(AI)革命の中核を担っている。AIの膨大な計算需要を処理するこの小さな電子デバイスは、大規模言語モデル(LLM)から自動運転車に至るまで、あらゆるものを支えている。

最近、AIチップのエコシステムにおける主要企業2社、台湾積体電路製造(TSMC)とASMLが2025年第2四半期の決算を発表し、両社の最近の業績を示す内容となった。ここでは、その数字が何を意味するのか、投資家の視点から見ていく。

台湾積体電路製造(TSMC): 先端チップ需要の恩恵を享受

世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCは、AIチップに対する旺盛な需要に支えられ、好調な第2四半期決算を発表した1。同四半期の売上高は前年同期比38.6%増の9,338億台湾ドル(301億米ドル)となった。純利益は3,983億台湾ドルとなり、前年同期の2,479億台湾ドルから61%増加した。

収益性を詳しく見ると、同四半期の粗利益率は58.6%、営業利益率は49.6%であった。2024年第2四半期2ではそれぞれ53.2%と42.5%であったことから、収益性は大幅に改善したことになる。

AI and HPC demand driving Q2 growth

決算の内容を詳しく見ると、第2四半期の売上を牽引したのは、AIおよび5G用途を含むTSMCのハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)事業であった。この事業は売上高全体のおよそ60%を占め、前年同期の52%から上昇した。先端技術(7ナノメートル未満のチップと定義)は、ウエハー売上高全体の74%を占め、2024年第2四半期の67%から上昇しており、先端AIチップ技術への需要が明確に高まっていることがわかる。

2Q25 Revenue by platform

出典: TSMC、2025年7月17日時点

今後の見通しについて、経営陣は短期的な見通しに楽観的な姿勢を示した。TSMCのシニア・バイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO)であるウェンデル・ホアン氏は、「2025年第3四半期に入っても、当社の最先端プロセス技術に対する旺盛な需要が事業を下支えすると見込んでいる」と述べた。同社は現在、第3四半期の売上高を318億~330億米ドルの範囲と見込んでいる。昨年の第3四半期の売上高は235億ドルであったことから、この見通しは大幅な成長を意味する。

なお、第2四半期の決算説明会において、TSMCのCEOであるC.C.ウェイ(魏哲家)氏は、AI需要の拡大と最先端技術への需要に支えられ、2025年通期の売上高は米ドルベースでおよそ30%増加すると見込んでいると述べた。これは非常に高い水準の売上成長であり、同社がAIチップ需要の高止まりを見込んでいることを示している。

全体として、TSMCの決算は良好な内容であった。売上成長率が高かっただけでなく、収益性も大幅に改善した。今後についても、AIチップに対する旺盛な需要を背景に、同社は成長を継続できる良好な立ち位置にあるように見える。ただし、ドナルド・トランプ大統領が台湾に対して高率の「相互関税」を課す可能性を示唆していることから、米国の通商政策が潜在的な逆風となりうる点には留意が必要である。

ASML: ガイダンス上限の売上高を達成

TSMC、インテル、サムスンなどに向けて半導体製造装置を供給するASMLの株価は、第2四半期決算4の発表後に二桁台の下落3に見舞われた。しかし、決算の内容自体は悪くなく、むしろ売上高が市場予想を上回るなど、かなり好調な内容であった。

同四半期のASMLの総売上高は77億ユーロとなり、前年同期比24%増加、同社ガイダンスの上限に達した。純利益は23億ユーロとなり、2024年第2四半期5の16億ユーロから44%増加した。同四半期の粗利益率は53.7%となり、前年同期の51.5%から上昇した。TSMC同様、収益性は前年同期比で改善した。

さらに詳しく見ると、設置済み装置管理サービスの売上高は21億ユーロとなり、前年同期の15億ユーロから増加した。これは40%の増加に相当し、同社がサービス事業においても成果を上げていることを示している。第2四半期の純受注額56億ユーロのうち、25億ユーロが極端紫外線(EUV)露光装置によるものであり、受注のかなりの部分が、同社が生産面で独占的地位を有する最先端のチップ製造技術向けであることを示している。

同チップ株が軟調となった要因は、同社のガイダンスにあった。ASMLは今年の売上高成長率を15%と見込んでいるものの、経済・地政学的な不確実性を理由に来年の成長を確約できなかったことが、投資家心理を冷やした。

 AI customers outlook amid macroeconomic uncertainty

二桁台の株価下落は過剰反応だったのだろうか。その可能性はある。関税や輸出規制に起因する不確実性が一定程度存在することは間違いない。しかし、ASMLが世界のAIエコシステムにおいて最も重要な企業の一つであることを踏まえると、来年成長が全くないという事態になれば、それはむしろ意外な結果と言えるだろう。

脚注:

1 TSMC、TSMC Reports Second Quarter EPS of NT$15.36、2025年7月17日時点

2 TSMC、TSMC Reports Second Quarter EPS of NT$9.56、2025年7月18日時点

3 CNBC、ASML shares drop 11% after the chip giant says it can't confirm that it will grow in 2026、2025年7月16日時点

4 ASML、ASML reports €7.7 billion total net sales and €2.3 billion net income in Q2 2025、2025年7月16日時点

5 ASML、ASML reports €6.2 billion total net sales and €1.6 billion net income in Q2 2024、2025年7月17日時点

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